女王の孤独なワンオペ育児【子育て前半】

女王の孤独なワンオペ育児【子育て前半】

今回は、地面に降り立った新婚ホヤホヤの女王が最初にすること、そして自室の建造、産卵、育児の前半をお話しします。

土地探し

意外に出身の巣穴から遠くまでは飛ばないことが多いようです。

これから新しい自分の家族が繁栄するための場所を探して、しばらく徒歩でウロウロします。

公園や花壇、庭や畑などなど、良さげな場所を物色するためです。

それでも新居にふさわしい環境が見つからなければ、残念ながらそこまでの運命です……。

どうにか湿った土ゾーンを見つけてくれ! 女王たちよ!

何ならウチに飛び込んできてくれ!

 

羽根をむしりとる

マジです。

手足や顎を使って、ねじったり引っ張ったり、バタバタしながら自ら羽根をモギとります。

見てると痛そう……。

 

なぜ羽根をモギるのか?

もう飛ばないから要らない、要らないから捨てる

合理的。

どうして要らないかというと、結婚飛行をするのは、一生にたった一度きりだからなのです。

結婚0日目で夫とは死別。

そしてその後は独身を貫く。

くぅ、健気ー!

 

この羽根をむしった痕(脱翅痕。読み方はダッシコン。)があるかないかで、その女王蟻が “既婚か未婚か?” つまり “交尾済みか否か?” の区別がほぼつきます。

ほぼ、というのは例外もあるからです。

まれに、まだ羽根のある状態でも、降り立ったばかりであって交尾済みだったり、飛行を終えて脱翅痕があったとしても、交尾に失敗している可能性もあります。

 

巣づくりスタート

まずギリギリ自分が動き回れるような大きさの部屋をつくります。

女王の体長はだいたい1.8センチくらいなので、2センチ経の球みたいな空間を想像してください。

どんなに大きな巣でも、最初はこの小さな1部屋からはじまります。

そして卵を産み、子育てがスタートするわけですね。

初回の産卵

産む数は個体によって差があり、だいたい数個〜数十個。

卵の大きさは1mmくらいで、色はごく薄い黄色が多いです。

中には白っぽいのから、濃いクリーム色をしたものもあり、部分的に透明なものも見たことがあります。

つるっとツヤツヤ質感の見た目。

クロオオアリの卵は真ん丸でなく、薬のカプセルほどではありませんが、ちょっと細長いです。

 

卵のお世話

女王は顎で器用に咥えて、卵たちを一箇所にまとめて管理します。

毎日、数時間ごとに置き場所を変えるんですよ。

部屋の隅に置いたり、体の下に置いたり。

ときには幼虫や繭にくっつけている時も。

湿度や温度、明るさなど、ちょうどいいところを探しているのでしょうね。

 

移動させるとき、たまに取りこぼして卵の塊がバラけることもあるけれど、ちゃんと周囲を、細かく何度も確認して回収します。

アリの触覚はとても敏感なセンサー。

一個の卵でも見逃さず(触り逃さず?)安全で心地よいところに集めます。

 

それから、大事な卵がカビたりしないように、定期的に舐めています。

蟻の唾液には、特殊な成分が含まれていて、卵がカビるのを防いでくれる役目もあります。

 

卵は産まれてから孵化するまで、つまり幼虫になるまで、約2週間かかります。

 

次回は、長女が成人して働き始めるところまで書こうと思います。